非破壊検査とは
機械や構造物、溶接線などに発生したきずやひび割れなどを、ものを壊す事無く検出する技術の事です。
検査を行うモノに対し、超音波を入射して内部のきずを検出したり、表面に電流を流しきずを検出したり、さまざまな手法できずの検出を行います。また配管等の内部腐食などの検査も非破壊検査で行っていきます。
非破壊検査の目的
非破壊検査の主な目的は
①.機械部品、構造物の信頼性を確保する
信頼性は「信頼度」という数値で表現され、信頼度は一定期間内に初期の性能を満たす事ができる確率であり、100%を上限値に次式で表します。この信頼性を確保する事が最大の目的です。
信頼度=実際に稼働した時間÷期待された稼働時間
②.コスト低減
不意の故障で装置や設備が使用不可能となる事による経済損失と、それを原因とする事故により失われる多様な損失を回避する目的を指します。
③.製造技術の改良
不具合を正確に知り、製造工程へフィードバックする事で製品の製造技術の改良を図る事を示します。
一般的な非破壊検査手法
目視試験(VT)
VTと略称される目視試験は、人間の目で見て観察する試験方法です。
特別な手段を用いる事無く外観から大きなきずを発見できます。
日本ではVTの資格は存在しませんが、非破壊検査技術者には近距離視力が必要条件とされています。
目視試験としては、直視するほかに鏡、CCDカメラといった道具を用いて間接的に観察する事も行われます。
浸透探傷試験(PT)
PTは材料表面に発生した表面開口きずに浸透液を浸透させ、毛細管現象により表面を吸出し、拡大されて現れた指示模様を観察して表面きずを検出する方法です。
磁気探傷試験(MT)
MTは磁性体金属の表面及び表層に発生した表面割れ等のきずの検査に適しています。
試験体に磁束を流した場合、試験体表層部のきず部で漏洩磁束が生じます。磁粉をその部分へ適用することにより、磁粉同士が吸着し、互いにつながって識別できるようになります。
超音波探傷試験(UT)
超音波探傷試験は超音波が金属中を直進し、異なる物体の境界面で反射する特性を利用しています。きずで反射したエコーを受信し、位置や大きさを測定します。試験には大きく分けて斜角探傷法と垂直探傷法があります。斜角探傷法は、探傷面に対し斜めに超音波を入射させる方法で、溶接部等の探傷に用いられます。垂直探傷法は試験面に対し垂直に超音波を入射させる方法で、板材、棒材、鍛鋼品、鋳鋼品などの探傷に広く利用されています。